賃貸借契約の電子契約とは?メリット、デメリットを解説!

賃貸借契約の電子契約とは?メリット、デメリットを解説!

賃貸借契約を結び際、必ず不動産会社に足を運ぶ必要があるとお考えではないでしょうか。
実は2021年のデジタル改革関連法の施行により、2022年5月18日から賃貸借契約における電子契約が可能となっています。
とはいえ、急に電子契約が可能となっても今まで身近ではなかったので「電子契約なんて大丈夫?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、これから賃貸借契約の予定がある方に向け、賃貸借契約における電子契約のメリット、デメリットについて解説しています。
ぜひ参考にしていただき、電子契約を検討してみましょう。

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賃貸借契約の電子契約とは?

賃貸借契約の電子契約とは?

そもそも電子契約とは、電子ファイルをインターネット上で交換して電子署名をすることで契約する方法です。
契約した電子ファイルは、企業のサーバーなどに保管されます。
賃貸借契約は対面でおこなわれる必要がありましたが、最近になり電子契約が可能になりました。
では、なぜ賃貸借契約における電子契約が可能になったのでしょうか。

きっかけはIT重説

賃貸借契約における電子契約が可能になったきっかけは、2017年10月に賃貸借契約における重要事項説明の対面原則の規制緩和です。
重要事項説明の規制緩和は、IT重説と呼ばれています。
IT重説とは、賃貸借契約における重要事項説明を対面でおこなわず、パソコンやスマートフォンを通じてオンラインでおこなう方法です。
賃借人はわざわざ不動産会社に出向く必要がなくなり、スマートフォンの普及に伴い、賃借人の負担軽減を図り運用が開始されました。
ただ、重要事項説明がオンラインで可能になり便利にはなりましたが、下記の書類に押印と署名が必要のため、あまり普及しませんでした。

●重要事項説明書(35条書面)
●賃貸借契約書(37条書面)


これらの書類に押印と署名をしてもらう必要があり、IT重説をおこなうと郵送でのやり取りが発生し、余計に手間がかかります。
そのためIT重説は普及せず、従来どおりの対面での重要事項説明が一般的におこなわれてきました。

重要事項説明書と賃貸借契約書の電子化

そこで2019年10月から3か月間、賃貸借契約書の完全電子化を目指し、国土交通省が重要事項説明書と賃貸借契約書の電子化に関する社会実験をおこないました。
実験では便利な反面いくつかの指摘も見つかっており、改善を重ね2020年9月から改めて社会実験を再開しています。
そして、冒頭でもお伝えしたとおり、2021年のデジタル改革関連法の施行により2022年5月18日から賃貸借契約における電子契約が可能となりました。
実は賃貸借契約の電子化は日本国内だけでなく、世界的にも普及しつつあります。
IT国家であるアメリカでは賃貸借契約だけでなく売買契約の電子化も進んでおり、その普及率は約80%です。
アメリカのように合理主義な国では、電子契約のような便利なシステムを早く導入する動きが見られます。
一方、日本ではハンコ文化が根付いており、電子契約があまり進みませんでしたが、最近では押印廃止の流れも顕著です。
今後は、賃貸借契約の電子化が普及していくでしょう。

賃貸借契約における電子契約のメリットとは?

賃貸借契約における電子契約のメリットとは?

では、賃貸借契約における電子契約にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
主なメリットは、以下の3点です。

●日程調整が容易
●コストの削減
●業務の効率化


順番に解説します。

日程調整が容易
まず1つ目のメリットは、電子契約になると日程調整が容易になる点です。
これまでは賃借人が来店して対面で手続きをおこなってきましたが、電子契約になるとその必要はなくなります。
IT重説により重要事項説明もオンラインで可能であり、電子契約も可能のため遠方でも手続きは完結します。
転勤などで遠方の賃貸物件を借りる際は時間とお金をかけて出向いていましたが、わざわざ出向く必要がなくなりました。
賃貸借契約における負担が軽減されるため、賃借人にとってメリットが大きいです。
また不動産会社としても電子契約が可能になり、日程調整の負担が軽減されます。
日程調整は不動産会社にとって負担が大きかったので、働き方改革という意味でも電子契約は貢献するでしょう。

費用の削減
電子契約になるとペーパレスとなるため、コストの削減に繋がります。
たとえば、紙代や印刷代、封筒代、郵送費などのコストのカットが可能です。
もちろん、電子契約をするにあたり、カメラやパソコンなどの多少の設備投資は必要です。
とはいえ、他のコストカットの効果が大きいので、全体的にみるとメリットと言えるでしょう。
また賃貸借契約には印紙は不要ではありますが、売買契約では印紙は必要でした。
しかし、電子契約は課税文書には該当しないとのことで、電子契約になると印紙は不要とされております。
今後売買契約における電子契約が可能になれば、印紙税の費用も削減できるので期待したいですね。

業務の効率化
最後のメリットは、業務の効率化です。
先述したとおり、日程調整が容易になるという点も業務効率化の1つと言えます。
とくに業務の効率化を期待されているのが郵送での書類のやりとりがなくなるという点です。
今までは署名が必要な書類に関しては郵送で送ってもらい返送していましたが、その必要がなくなります。
書類に関しては不備があることが多く、郵送でのやり取りが1回で完結せず2、3回おこなうことも多くありました。
しかし、電子契約が可能になることで、たとえ不備があっても郵送でのやり取りをする手間が発生しません。
賃借人にとっても賃貸借契約がスピーディーできるため、メリットが大きいでしょう。

賃貸借契約における電子契約のデメリットとは?

賃貸借契約における電子契約のデメリットとは?

メリットばかりお伝えしましたが、電子契約にはデメリットもあります。
賃貸借契約における電子契約のデメリットは、以下のとおりです。

●全体像をつかみにくい
●インターネット環境が必要
●インターネットに不慣れ


きちんとデメリットも確認しておきましょう。

全体像をつかみにくい
1つ目のデメリットは、全体像をつかみにくいという点です。
電子契約は便利である一方、紙の文書と比較すると見にくいと感じる方もおられます。
紙の文書なら他のページと比較したり、同時に見たりできますが、電子契約では難しい場合もあります。
このデメリットは電子契約だけでなく、電子書籍でも同様です。
電子書籍でも「見にくい」や「前のページに戻って確認したいとき不便」などという理由から電子書籍を嫌う方もおられます。
電子契約をされるなら、そういった使いにくさがないか考えてからおこないましょう。

インターネット環境が必要
電子契約ではIT重説が必要となるため、インターネット環境が必要です。
最近ではスマートフォンが普及しており、家にインターネット環境がないという方もおられます。
またスマートフォンだけでIT重説も含め電子契約をおこなうのは難しく、パソコンも必要です。
電子契約を選んだからとはいって、すべて不動産会社が対応してくれるわけではなく、インターネット環境やパソコンなどの設備は自分で用意する必要があるので注意しましょう。

インターネットに不慣れ
先述したとおり、電子契約をするにはインターネットのある程度の知識が必要です。
普段からインターネットを利用されている方は問題ありませんが、インターネットに不慣れな方が電子契約をおこなうのは難しいでしょう。
電子契約はあくまで電子化が可能なだけであり、すべて電子にする必要があるわけではありません。
もちろん書面による契約もできますので、不安に感じるなら書面でおこないましょう。

まとめ

2022年5月18日より賃貸借契約における電子契約が可能となり、賃借人の負担が軽減されます。
ただし、電子契約を利用するには普段からインターネットに慣れている必要があるため、自分が電子契約に適しているか判断しメリットが大きいと感じるなら利用してみましょう。

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