賃貸物件の入居者が孤独死したときに経営者がするべき対応とは?

賃貸物件の入居者が孤独死したときに経営者がするべき対応とは?

賃貸管理や賃貸経営をする方は、万が一入居者が孤独死したときの対応や賃貸借契約がどうなるかをしっておくと安心です。
少子高齢化の現代において高齢者の一人暮らしは少なくないので、孤独死は人ごとではありません。
入居者が孤独死したときの賃貸借契約や対応、孤独死のリスクに備えてできることについての解説をぜひ参考にしてください。

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賃貸物件で入居者が孤独死したときは賃貸借契約は解約される?

賃貸物件で入居者が孤独死したときは賃貸借契約は解約される?

内閣府の発表によると、平成28 年に東京23区内における65歳以上で一人暮らしをしている方が自宅で死亡したケースは3,179件です。
平成15年は1,451人であり、毎年増加しています。
また警察の調査によると、2019年の孤独死者のうち死後2日以上経過してから遺体が発見されたケースが2,966件で、65歳以上の高齢者が71%と発表されています。
ただし孤独死しているのは高齢者だけではなく、40〜50代が2割であり、年齢に関わらず社会的孤立は問題になっています。
賃貸物件を経営するなかで、社会問題に目を向け、いつご自身の賃貸物件で孤独死が発生してもおかしくないと認識しておくことが大切です。

入居者が孤独死しても賃貸借契約は解約されない

まず覚えておく必要がある契約のルールとして、入居者が死亡したら賃貸借契約がすぐに解約されるということではないという点です。
賃貸借契約は民法601条に基づいていて、賃借人は家賃を支払うことを条件に目的物を使用する権利を得ます。
賃借権は入居者本人のみに帰属する権利ではなく、死亡時は相続されることが法律で定められています。
したがって賃貸物件で入居者が孤独死した際に、賃貸借契約は解消されず、貸借人の相続人がその権利を相続するというわけです。

入居者が孤独死したときは相続人を確認する

入居者が孤独死したときは、入居者の家族や親戚など相続人にあたる方を確認して連絡しましょう。
すみやかに対応できるように、日頃から書類をまとめてわかるところに整理しておくことが大切です。
多くの場合、相続人にとって賃貸借契約を続行することは不必要なので、事実確認のあとは解約手続きに進むケースがほとんどです。
ただし、相続人と連絡がとれない場合や、存在が不確かな場合は、探すのに時間がかかり労力を費やすことにもなりかねません。
相続人の存在が不明の場合は、弁護士に相談することが必要になることも頭に入れておきましょう。
また家賃の滞納などの問題がある場合は、合意解約ではく大家さんの方から賃貸借契約の解除を申し出ることが可能です。

賃貸物件で孤独死が発生したときの対応について

賃貸物件で孤独死が発生したときの対応について

続いて、経営する賃貸物件で孤独死が発生したときにするべき具体的な対応についてご紹介します。
トラブルにならないよう順序や許可をとっておこなうことが大切です。
対応は慎重におこないましょう。

残置物の処理

孤独死が発生したときは、残置物の処理をすみやかにおこないましょう。
長く放置すると建物ににおいや染みが残ってしまい、今後の賃貸経営に悪影響を及ぼしかねません。
また他の入居者が異変を感じて、トラブルになることも考えられます。
部屋の残置物は早急に片づけるよう、対応しましょう。
ただし、残置物の処理は相続人の承諾を得てからおこなわなければなりません。
大家さんの判断で勝手におこなうと、あとから責任を追求される可能性があります。
相続人にすみやかに連絡し、判断を仰ぎましょう。
相続人と連絡がとれない場合や、存在がわからない場合は、弁護士に相談しましょう。
賃貸物件の資産価値を落とさないためにも、早めの行動が大切です。

費用請求

相続人に確認し、残置物の処理が完了したら、建物の原状回復をおこないます。
原状回復のために、特殊清掃が必要になることもあります。
特殊清掃とは、遺体の腐敗によって床下や畳などに染み付いた汚れやにおいを専門の用具や技法で取り除く作業で、有料のサービスです。
一般的に、経年劣化や通常の消耗による価値の減少を除く修繕は貸借人の負担とされています。
貸借人の故意・過失、善管注意義務違反(通常の利用を超える方法による使用)の場合に、原状回復費用は貸借人に請求できることを認識しておきましょう。
貸借人が死亡している状況において、この責任は相続人に引き継がれます。
原状回復にかかる費用の見積もりをとり、作業内容や金額について理解してもらい手続きを進めましょう。

損害賠償請求

続いて、死亡した状況や原因を確認します。
これから賃貸経営をおこなうにあたり、物件で人が死亡した場合は、状況によって借主に告知する義務があることは知っておきましょう。
ただしどのような死亡状況かによって、賃貸物件の経営を左右します。
老衰や病気によって自然死した場合は、一定期間が経過したあとは告知する必要がないとされています。
しかし死亡発見が遅れて遺体が激しく腐敗したり損傷したり賃貸物件への影響が大きい場合は、契約の判断に重要な影響を及ぼす事項として借主への告知義務が生じます。
入居者の死亡によって家賃の減額や入居者の減少被害を被ることが予測される場合は、損害賠償請求がおこなえます。
妥当な請求かどうかを弁護士と相談して、請求が必要な場合は相続人と話し合いましょう。

賃貸物件の入居者の孤独死リスクに備えてできることとは?

賃貸物件の入居者の孤独死リスクに備えてできることとは?

少子高齢化や核家族の増加から、高齢者が単身で暮らす世帯が増加し、今後もその数は右肩上がりになることが予想されています。
このような背景から、賃貸経営者は孤独死のリスクに備えて対策を講じておくことが求められます。
最後に、入居者の孤独死リスクの備えとしてできることをご紹介します。

孤独死のリスクへの備え①保険に加入する

近年、孤独死や自殺の増加に伴い、保険会社がさまざまな孤独死保険サービスを提供しています。
保険は大きく2種類に分かれ、大家さんや管理会社が加入する「家主型」と、入居者が加入する「入居者型」があります。
「家主型」は賃貸物件で入居者が死亡したときに、原状回復や家賃損失を補償するもので、保険料は大家さん側が支払います。
費用負担が増えますが、万が一のときに安心な保険サービスです。
続いて、「入居者型」は入居者が費用負担する保険サービスで、火災保険の特約として契約することが一般的です。
万が一入居者が孤独死した際に、相続人の費用負担が補償されます。
死亡時に相続人が存在しない場合に、部屋の修繕をおこなうものに対して保険金が支払われるサービスもあります。
入居者が保険に加入している場合は、補償内容について正しく理解しておきましょう。

孤独死のリスクへの備え②連帯保証人を確かめておく

連帯保証人は、契約上のリスクを回避するために賃貸借契約を締結したときに立てておくことがほとんどです。
しかし契約してから何年か経ち、連帯保証人がどのような状況にあるのか、支払い能力はあるのかを把握していないケースは少なくありません。
更新時に挨拶を含めて連帯保証人に連絡をとり、関係性を深めておくと安心です。
万が一のときにすみやかに連絡がとれるように予防策を講じておくことは、リスクの備えとして効果的です。

孤独死のリスクへの備え③終身建物賃貸借契約を結ぶ

終身建物賃貸借契約は入居者が死亡すると契約が終了するタイプの契約です。
孤独死が発生したときに、契約終了の承認を相続人に確認しなくても良いというメリットがあります。
ただし、残置物の処理については相続人に対応を確認する必要があるので注意しましょう。

まとめ

賃貸物件を経営する際は、孤独死のリスクについて頭に入れておくことが大切です。
万が一入居者が孤独死したときに慌てないように、対応について把握しておきましょう。
リスクへの備えとして、保険や孤独死に対応した契約を選ぶことも検討すると良いでしょう。

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