賃貸物件の入居者が認知症になった場合、どのように対応すれば良いのかお悩みの大家さんも多いでしょう。
日本では総人口の約3割が高齢者である高齢化社会といわれており、賃貸物件の入居者においても高齢化と認知症発生リスクは避けられない問題です。
大家さんは、事前に認知症の入居者に対する知識と対応策を持っておくと良いでしょう。
この記事では、賃貸物件の入居者が認知症になった場合の想定されるトラブルと賃貸借契約についてご説明したうえで、未然に防ぐ対応をご紹介します。
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弊社へのお問い合わせはこちら認知症になった賃貸物件の入居者が引き起こすと想定されるトラブル
認知症になった入居者は、判断能力が欠けたり記憶障害が起きたりするため、さまざまなトラブルを引き起こすであろうと想定されます。
認知症への対応ができるように、想定されるトラブルについて事前に知識を備えておきましょう。
ここでは、認知症になった入居者が引き起こすと想定されるトラブルをご紹介します。
家賃滞納のトラブル
認知症になった入居者は判断能力が欠けてしまうため、お金の管理ができなくなってしまう可能性があります。
したがって、家賃の支払いを忘れたり家賃分のお金がなくなってしまったりして家賃滞納のトラブルに繋がるケースが考えられます。
大家さんにとっては、家賃収入が賃貸経営するうえで必要不可欠なものです。
家賃滞納者がいることで、賃貸物件の経営にも影響が出てきてしまうでしょう。
また、家賃滞納者だからといえども、すぐに退去させられないので、家賃滞納の解決までには時間を要するかもしれません。
ゴミなどのトラブル
認知症になった入居者だと、自分の身の回りのことができない状態になる可能性が考えられます。
清掃や洗濯などできなくなり、ゴミが散乱して室内が酷い汚れとなるトラブルが起きるでしょう。
また、認知症が進むと自分で排泄ができなくなる可能性も。
室内の汚れにくわえて、さらに害虫や異臭発生へのトラブルにも繋がるでしょう。
火災のトラブル
認知症になった入居者は、記憶障害が起きるため、石油ストーブやガスコンロの火の消し忘れをする恐れがあります。
したがって、火の消し忘れによる火災のトラブルに繋がることが考えられるでしょう。
火災が起きてしまうと、他の入居者にも命の危険が起きて大惨事となってしまいます。
また、認知症の入居者が起こした火災だと、火災保険の補償が利用できない場合もあるので注意が必要です。
近隣住民とのトラブル
認知症になった入居者は、幻覚や被害妄想、徘徊などの行動を起こす症状があります。
ありもしないことを訴えて近隣住民とトラブルを起こしたり、夜中に近所を徘徊して通報されたりする可能性があるかもしれません。
また、先述したゴミや異臭のトラブルから近隣住民から苦情が出る可能性も考えられます。
大家さんに対しても、室内の建具や電球交換などの不具合を何度も依頼してくるケースもあるでしょう。
入居者が認知症になった場合の賃貸借契約はどうなる?
家賃の滞納や、ゴミの問題などから認知症になった入居者との賃貸借契約を解除したいと思うのが大家さんの心情でしょう。
しかし、入居者が認知症になったことを理由に、契約の解除や退去を要求することは難しいといわれています。
ここでは、認知症になった入居者の契約の解除や退去を要求できない理由や対応策についてご説明します。
入居者の認知症を理由に契約解除や退去を要求できない
入居者が認知症になったことを理由に賃貸借契約の解除や退去は難しいといわれています。
認知症の初期症状で生活に支障がない段階では、入居者を強引に退去させるのは倫理に反しているでしょう。
また、認知症である入居者本人に、契約解除を訴えたり裁判所に退去を訴えたりすることもできません。
なぜならば、認知症である入居者は「意思能力が欠如している」と判断され、賃貸借契約などの法律行為の変更ができないからです。
契約内容について話し合う
高齢者の入居者とは、認知症が発生してから対応するのは難しいため、判断能力があるときから事前に賃貸借契約について話し合っておくことが大切です。
認知症の初期段階がみられて判断能力に不安がある場合は、親族を交えて話し合うのがおすすめです。
賃貸借契約の内容としては、家賃を上げる、敷金を預かっておく、定期借家契約に変更するなどを見直す方法があります。
前もって今後のことをきちんと話し合っておきましょう。
賃貸物件における認知症の入居者とのトラブル対応
今は高齢の入居者でなくても、年齢を重ねて認知症を発症する可能性も充分に考えられます。
認知症になった入居者による家賃滞納や室内の汚れなどのトラブルを防いで、大切な物件を守りたいですよね。
ここでは、認知症になった入居者によるトラブルを未然に防ぐための方法をいくつかご紹介します。
連帯保証人
高齢者には、認知症になった場合のリスクを考慮して、きちんと連絡が取れる親族などの連帯保証人を付けることが大切です。
連帯保証人には、日頃から連絡を取るようにし、認知症の初期症状が見られた際には日頃の様子を報告しましょう。
なぜならば、認知症が進行してから急に報告されると連帯保証人が戸惑ってしまうからです。
日頃から連絡を取り合うことで、入居者の認知症が進行してもスムーズな対応ができます。
連帯保証人との信頼関係を構築して、協力が得られるようにしておきましょう。
法定後見人の申し立て
入居者が認知症になっても、連帯保証人の協力が得られないケースもあるでしょう。
そのような場合には、法定後見制度を利用する方法があります。
法定後見制度とは、高齢化によって判断能力が欠けた方に対しての保護が認められる制度です。
「後見」「補佐」「補助」の3つの法定後見制度があり、認知症の重度によって決まります。
認知症が軽・中度の場合だと、民法によって定められた行為のすべてまたは一部の代理権、同意権、取り消し権の補佐と補助が認められます。
認知症が重度の場合だと、民法によって定められたすべての代理権、同意権、取り消し権が認められます。
この法定後見制度を利用するためには、親族から家庭裁判所に申し立てをおこなってもらうことが必要です。
万が一、入居者に身寄りがいない場合には、行政に相談して「成年後見制度利用支援事業」を利用する方法もあります。
見守りサービスの利用
賃貸物件に、見守りサービスの利用をおこなうのも、認知症の入居者によるトラブルを未然に防ぐおすすめの対応方法です。
見守りサービスとは、家族と離れて暮らす高齢者の安否確認を、家族の代わりにおこなうサービスです。
見守りサービスの利用によって、認知症発症の発見や、孤独死の防止と早期発見にも繋がります。
見守りサービスには、介護職員による訪問、24時間作動のカメラ、コールセンターからの電話などの形態によって展開されています。
入居者本人や家族が安心できるうえに、大家さんにも安心できるサービスです。
まとめ
賃貸物件の入居者が認知症になった場合、家賃滞納・ゴミ・火災・近隣住民とのトラブルが起きる可能性が挙げられました。
認知症になっても契約の解除や退去の要求はできません。
しかし、連帯保証人の協力を得たり見守りサービスを利用することで未然にトラブルは防げるでしょう。
これからも高齢者が増えていくと予想されるため、認知症によるトラブルの知識と、未然に防ぐ対応方法を理解しておく必要があります。
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