農地が売却しづらい理由とは?農地を売却する方法と費用を解説

農地が売却しづらい理由とは?農地を売却する方法と費用を解説

農地の売却を検討すると、売りづらさにお困りの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、農地が売却しづらい理由と売却する方法や流れ、費用についてお伝えします。
子や孫が農業を続けるのが困難な場合、農地を手放すのもやむを得ない決断です。
次世代に禍根を残さないためにも、売却を前向きに検討しましょう。

\お気軽にご相談ください!/

弊社へのお問い合わせはこちら

農地を売却しづらい理由とは?

農地を売却しづらい理由とは?

農地の売買には制限がある?

農地は宅地などと異なり、農地法に基づく制限によって簡単に売買できない仕組みになっています。
農業は、国民に食糧を供給し、国の根幹を支える産業です。
そのため、用途は「耕作」に限定し、専業農家に対してだけ売却できるように保護しています。
しかも、農業用地として売る際、農地法により購入者には条件を設定してあり、誰もが簡単に購入できません。
その条件のひとつが、一定規模以上の耕作面積を保有する農家だけが購入できる「下限面積」です。
売買契約以外に、贈与する場合も条件に合致しなければ、所有権の変更はできません。
この条件は、現在耕作地が少なく、効率化を目指して規模拡大を目指す農業経営者や異業種からの参入を考える個人・法人には、耕作地を取得できない大きな壁になっています。

農業は続けづらい?

2022年に農林水産省が発表した農林業センサスによると、2016年の個人経営の農場従事者は158万人ですが、2021年では130万人に減少しています。
平均年齢は66.8歳から67.9歳に上昇し、65歳以上が占める割合も増加傾向です。
このため、農業従事者の高齢化と減少にともなう労働力の低下により、農地面積も減少しています。
さらに、2021年農林水産省の「荒廃農地対策に関する実態調査」では、耕作放棄地の問題も深刻です。
耕作放棄地の面積は、約28万haのまま横ばいですが、再生利用困難地が18.3万haから19.2万haに増加し、歯止めがかかっていません。
そして、荒廃した土地の所有者は、地域外に住むまたは農業を営んでいない方です。
農業が継続できない場所は、自然条件が悪く耕作しづらい土地に集中し、鳥獣被害も影響していると、回答しています。
続けづらい農業に見切りをつけても、売却できない土地が放置されてあるのが現実です。

耕作放棄地は早急に売却すべき?

耕作放棄地に対し、2017年からは課税評価額が変更になりました。
耕作しなくても55%だった固定資産税の課税評価額が、農業振興地域内にある未耕作地は、通常よりも課税額が高くなることもあります。
耕作放棄地が、高額の税金がかかる場所になってしまっていることを理解し、早急に対応しましょう。

農地を売却する方法や流れを解説

農地を売却する方法や流れを解説

農業用地を売る場合、そのまま売る方法と利用目的を農業以外に変更して売る2つがあります。
土地の利用目的である地目を変更すると、売却方法も変わります。

地目を変更しないで売却する条件と方法とは?

農業用地は、先ほどご紹介したように、買い手や売る方法が決まっています。
下限面積以外の条件は、購入した土地を、必ず耕作地にすることです。
また、購入した方及びその家族が、年間150日以上農業に従事するなど、農業がメインになっていることも条件になっています。
そのうえで、営農規模に適した広さであり、機材や人材を揃えて効率的な農業をおこなっていることなど、さまざまな条件をクリアした方です。
そのまま売るときは、購入条件をクリアした個人または農業生産法人探しから始めます。
地域の農業委員会に売却許可を申請してから買い手を探すのが本来の流れですが、購入する相手が不明の場合は不許可になることがあるからです。
また、許可が出るまでに3か月程度かかることもあり、確実に売るためにはやむを得ない方法であることもご承知おきください。
買い手が見つかれば、所有権移転請求権の仮登記をおこない、許可が出た後、本登記と代金の精算を終えると完了です。

地目の変更には条件がある?

登記簿の地目を変更することを転用といい、「田または畑」から「宅地」へと変えて、農業以外に使えるようにしてから売る方法もあります。
転用する際は、立地基準と一般基準の両方をクリアしなければ、農業委員会の許可が出ない仕組みです。
立地基準は、農業用地の種類を5つに分類したもので、種類によっては転用許可が出ません。
農業振興地域整備計画内(通称・青地)や市街化調整区域内または特定改良区域内にある土地は、農業に適した大規模耕作地であるため、原則として不許可です。
一方、市街地及び近郊にあるときは許可が出やすくなります。
とはいえ、すべてに転用許可が出るとは限らず、農業用施設の場合にだけ許可するなど状況によって異なります。
一般基準は、転用する際に申請した事業を確実におこなうことや周辺への影響がないこと、一時的に転用した場合は必ず農業用に復元することの3点です。
申請と異なる事業に利用することを防ぐと同時に、計画が頓挫しないことや金銭的に破綻しないことを重視します。

農地を売却する際にかかる費用は?

農地を売却する際にかかる費用は?

農地を売却した所得にかかる税金

農業用地を売った場合、印紙税は不動産売買契約書に添付する印紙の代金です。
印紙税は契約代金によって金額が異なり、1千円から6万円が目安になります。
作成した不動産会社が立て替えていますので、請求書の明細を確認しましょう。
同時に、登記変更では、登録免許税が発生します。
土地を売った金額の1000分の20ですが、司法書士が登記手続きの際、法務局に納税し、後日請求書に合算する方法が一般的です。
通常、登記費用は買い手が負担するため、売り手に請求はありません。
売り手が納税しなければならない税金は、土地を売った所得にかかる譲渡所得税と復興特別所得税です。
どちらも、翌年の確定申告で申告と納税をおこないますので、忘れないようにしましょう。
譲渡所得税の税率は、所有した期間によって異なり、5年以下のときは30%、5年を超える場合は15%をあてはめます。
そして、復興特別所得税は、譲渡所得の2.1%です。
また、譲渡所得の算出には、土地を購入した代金がわかる書類も必要ですので、確定申告までに請求書や領収証を探しておきます。
その他の注意点として、土地を売っても消費税がかからないこともご留意ください。

税金以外にかかる費用は?

不動産会社に支払う仲介手数料と農地転用にともなう行政書士の費用です。
仲介手数料は、売買代金によって手数料は変わりますが、売った金額の3%に6万円を加算した金額が上限額になり、これに消費税を加算した金額になります。
転用にともなう届出などを行政書士に依頼すると、5万円から10万円程度です。
他に、土地の境界線がはっきりしないときは測量費用も発生します。

特別控除を活用しよう

農業用地を売ったときの譲渡所得税には、特別控除もあるため、該当する特別控除がないか、確認しておきましょう。
いずれも、農業経営基盤強化促進法に基づく措置であり、農業用地として売った場合が対象です。
特別控除の金額は、800万円、1500万円、2000万円の3種類があります。
土地の売買は不慣れなことも多く、確定申告では不安に感じることも多いため、税理士など専門家に相談するなどミスのない申告にしましょう。

まとめ

農地は農地法により、購入者に一定の条件が揃わなければならないなど、売却しづらい土地です。
そのまま売る他、地目を変更して売ることもできます。
放置したままでは固定資産税もかかりますので、売却方法を理解し、費用を把握して早期の売却を目指しましょう。

\お気軽にご相談ください!/

弊社へのお問い合わせはこちら

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。